皆さんは能力主義という言葉を聞いたことはありますか?
能力主義とは簡単に言うと努力して能力が身に付き、それが成果に結び付いて成功するといった考え方のことです。
これは言葉の通り、能力が評価される社会のことですが、社会にとって本当にそれが正しいのでしょうか?
今回ご紹介する「実力も運のうち 能力主義は正義か?」という本ではそのような考え方について深く議論されている一冊です。
私はこの本を読むまで能力主義は当たり前であり、そういった考え方の弊害など考えたことはありませんでした。
よく、社会は平等であるといったようなことを聞きますが今の社会は本当に平等なのかという所もこの本を読んで考えることができました。
それではこの本についてご紹介していきたいと思います。
能力主義の事実
自分の今置かれている立場について
最近は親ガチャなんて言葉も一時期流行りましたが自分の親は変えることのできない運命です。
裕福な家庭に生まれる人もいれば貧しい家庭に生まれる人もいます。
はたまた家庭環境の良い家に生まれる人もいれば家庭環境が悪い家に生まれる人もいます。
最近では稀に裕福な家庭に生まれた人が有名大学の裏口入学を行っているなど少し問題になったこともありました。
これはお金を積んで優遇されて入学するといった悪い例ですが、一方で一生懸命勉強したにも関わらず入試に落ちてしまう人もいます。
お金に何不自由なく大学に通わせてもらっている人と家庭環境の関係で大学に通いたくても通えない人だっていますよね。
そして今の社会では高卒よりも大卒の方が初任給が高いといった事実もあります。
結局何が言いたいかというと自分の力だけで今の立ち位置が出来上がっているのではないということです。
良くも悪くも色んな物事が重なり合って今の立ち位置があるわけで、決して自分の力だけで生きているわけではないことを再確認しましょう!
当たり前のことではありますが、生まれなどから考えても人類の平等はありえません。
このことを思い出せば誰でも謙虚に優しく生きられるのではないでしょうか。
能力主義は正しい考え方か?
では能力主義は正しい考え方なのかについて考えてみましょう。
能力主義について正しい考え方だと思っている方は多いのではないでしょうか。
実際私もやればやるだけ報われるという考え方は共感していましたし、それについて疑ったこともありませんでした。
しかし今の社会では先ほどの生まれの問題や大卒、高卒によって決めつけられることが多くあります。
例えば高卒では入社が難しい会社があったり、初任給の違いもそうです。
どれだけ能力がある人でも家庭環境から大学に進学できない人だっています。
そもそも今の自分があるのは「運」が大きいと筆者は述べています。
能力があっても様々な理由から社会の最下層に落ちぶれてしまう人もいれば、逆に能力がなくてもコネクションで最上層に上り詰める人もいるのです。
このことから能力主義といった考え方が必ずしも正しいというわけではないということが分かります。
「実力も運のうち 能力主義は正義か?」の概要
概要
この本はハーバード大学の教授のマイケル・サンデルの著書で能力主義が正義かといった議論がされている一冊です。
さすがは大学教授と言いたくなるぐらい、多くのデータや実例から筆者の考えが展開されています。
目次は下記となります。
- 勝者と敗者
- 「偉大なのは善良だから」能力の道徳の簡単な歴史
- 出世のレトリック
- 学歴偏重主義 何より受け入れがたい偏見
- 成功の倫理学
- 選別装置
- 労働を承認する
この本を読んでみて
私はこの本を読む前はどちらかというと今の立ち位置は自分の努力や力で勝ち取ったという認識をしていました。
しかしこの本を読んで必ずしもそういうわけではないということを認識しました。
私の両親は大学まで何不自由なく通わせてくれましたし、部活もやりたいようにやらせてくれました。
今の自分があるのは決して自分の努力だけではありませんし、周りの人へ改めて感謝をしたいと思います。
これから何かを頑張っていく上で能力主義を疑ってしまうと何も進みませんですが、周りの人と運命への感謝を忘れずに過ごしていきたいと思いました。
まとめ
この本は少し難しい内容でしたが入試を控えている人や今一度謙虚になりたい人には特におすすめです。
この本から学べることは大きく以下の3点です。
- 能力主義は正しい考え方なのか
- 能力主義の弊害について
- どのような心持で生きるべきか
広い視野が求められる現代社会で一度は能力主義について学ぶべきだと読んでみて感じました。
下記リンクでも経済を広い視野で見れるようになる一冊をご紹介しています。
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