起業家は多くの悩みを抱えています。
事業の悩みだったり、人の悩みだったり、資金繰りの悩みだったりと悩みの種は様々です。
今回はその中でも人の悩みについて重点的に説明されている本をご紹介していきたいと思います。
本のタイトルは「起業家はどこで選択を誤るのか」です。
起業前後は比較的に事業についての悩みが多くあるかと思いますが、立ち上げフェーズを越えれば人の問題が待っています。
人というのは皆さんもご存じの通り、10人いれば10人とも考え方が違います。
意見がぶつかったりするとお互いが納得するまでに時間がかかりますし、その分労力もかかります。
そういった問題を出来るだけ回避し、起業を成功に近づけるように学んでいきましょう!
下記リンクでは起業における失敗例を紹介しています。
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起業家が失敗する理由とは?失敗例を学び失敗を回避する。
書店などで起業の本を見たときによく目につくのは「どうすれば成功できるか」という所に焦点を当てた本です。 しかし成功を考えるのであれば、失敗例を知り、どのようにすれば失敗を回避できるのかを知ることも大切 ...
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起業家が選択を迫られるポイント
決断する際のポイント
意図的な決断かなんとなく決めるのか。
創業時は事業のことで決断を迫られることが多くあります。
例えば一番大きな決断はどのような事業をするのかという決断です。
しかし起業とは起業したことのある人以外には未知なる世界なので、どれだけ考えても分からないこともあります。
そこでなんとなくで決めてしまう人がいますが、なんとなく決めってしまっては後から必ず苦労します。
なぜかというと最初の誤りを後から修正していく方が確実に労力がかかるからです。
楽観的に決断を下してしまうことで、重要な情報を知らないまま突き進んでしまい、遠回りになってしまうことも多くあります。
起業家は意図して決断をするようにしましょう。
富かコントロールのどちらを求めるか。
起業に至るまでの動機は人それぞれだと思います。
しかし多くの人はお金持ちになりたいという理由か自分で会社をコントロールしたいという理由かのどちらかの動機が多いそうです。
私が起業を志す理由としては富とコントロールの重要度はどちらも半々なのですが、これには大きなデメリットがあります。
なぜかというとどちらに重きを置いているかで決断を迫られる時に大事にすることが変わってくるからです。
ここをはっきりどちらかに寄せていると成功確率は圧倒的に上がるそうです。
私自身どちらかに振り切ることは難しいと感じましたが、半々の割合を少しでもどちらかに寄せれるように自己分析していきたいと思います。
一人で始めるのか、それとも誰かと一緒にスタートするのか。
事業が決まってくるとその事業を一人でするのか共同創業者を募るのか悩むと思います。
スタートアップには「人的資本」と「社会関係資本」、「経済的資本」が必要です。
この三つのうち一つでも欠けていると大きな落とし穴にはまりやすくなってしまいます。
そもそも「人的資本」とは立ち上げに必要なスキルや経験、専門知識のことを指します。
「社会関係資本」とは情報や人間関係のネットワークにおいて自分の立場から得られる便益のことを指します。
「経済的資本」とは言葉の通り、スタートアップに使える資金や資産のことを指します。
しかしこの三つのすべてを兼ね備えている起業家はほとんどいません。
そこで自分に足りないところを補うためにも共同創業者と共にスタートすることを検討しなければなりません。
共同創業者と事業を始めるというメリットは、自分の足りない部分を補うだけでなく、精神的支えになるという部分もあります。
経営者は孤独とよく言いますが、孤独を感じた時に一緒に苦しみを分かち合える人がいるというのは大きなことかと思います。
しかし、この共同創業者というのもどのような関係の人と始めるかはかなり大事なポイントです。
友達と始めるのか、家族と始めるのか、それとも少し離れた関係性の人と始めるのか色々な選択肢があると思います。
よく言われるのが関係性の近い人と始めると失敗するということです。
これがなぜかというと人間関係を気にして、思っていることを言えずに関係性にひびが入っていくからです。
また言いづらいといった理由から会社にとって大事な決断を素早くできないといったことも出てきます。
このことから友人や家族と創業すると友人や家族を失うか、または会社を失うかのどちらかになる確率が圧倒的に高いようです。
ではどのような人と起業するのが理想かというと会社の同僚が理想です。
会社の同僚であればお互いの仕事に対するスキルや性格も把握しているため、仕事が進めやすい傾向にあります。
ビジネス上にある友情は素晴らしいものですが、友情の上に描かれたビジネスは最悪と本書の中で紹介されていました。
転職するかしないか。
逆にキャリアの中で三つの資本を身に付けている人はソロで起業しても成功する確率は高くなります。
そこでソロで起業したい方はこの三つを身に付けるために転職という選択肢もありますよね。
また、三つの資本だけでなく業界知識をつけるという観点でも転職は有効な手段です。
業界知識があればターゲット顧客の選定やニーズを考えやすいといったメリットがあります。
逆に業界知識がないとニーズとずれた戦略を取ってしまったり、人脈がないため雇用が難しかったりと成功へ遠回りになってしまいがちです。
先に挙げた三つの資本が自分に備わっているかを考えたうえで正しい選択を行えるように考えましょう。
ただし転職の際に注意すべきポイントもあります。
そのポイントとは自分の思想と合う組織かということと成長ベンチャーかどうかというところです。
自分の思想と真逆の組織ではそもそもの方向性が違うため価値形成に繋がりにくいというデメリットがあります。
また成長ベンチャーではなく、できたてのスタートアップではその経営者が有能かどうかがわかりません。
せっかく転職するのであれば有能な経営者の近くで質の良い決断に触れておきたいところですので慎重に見極めることが重要です。
誰を雇うか。
ソロで起業していても立ち上げ期を乗り越えたときは従業員を雇うことも考えなければなりません。
自身のスタートアップはどのような才能を求めているかを分析し、積極採用するようにしましょう。
しかし積極採用に動いたとしても求めている才能を持った人材が自分の友達や仲間の中にいることはほとんどありません。
ですので自分の人脈の外から求めている人材を探してくる必要があります。
経験豊富な人材は「人的資本」と「社会関係資本」をもたらす可能性が高く、複数分野を担当できるジェネラリストはさらに好ましいです。
これはどのスタートアップにも当てはまることですが、いちいち指示されなくても動き、職務要件以上のものを会社にもたらす人は最強です。
スタートアップは変化のスピードが大企業に比べて早いため、知識、人脈、スキルの不足を都度考えるようにしましょう。
ここで気を付けなければならないのがむやみに役職を付与しないことです。
優秀な人材を囲い込むために簡単に役職を与えてしまうと、短期的な対立は避けられても長期的な問題になることが考えられます。
なぜなら昇格は簡単でも降格は難しいからです。
役職の付与は十分考えてから行うようにしましょう。
お金の問題。
創業前には資金繰り表などを作り、キャッシュの動きを事前に確認しておく必要があります。
アメリカで外部資金を調達していないスタートアップが月に使うキャッシュは平均7万5千ドルです。
起業をするとかなりの大金が毎月動くことになるので資金繰りを考えないとすぐに倒産してしまいます。
そもそも誰のお金で事業を始めるかという点も重要です。
ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、自己資産など色々な調達方法があります。
誰から調達するのかという点に関して決断するために上述の富とコントロールのどちらに重きを置くのかが重要になります。
他人から調達すると調達した金額分コントロールができなくなり、自己資産で始められればもちろんすべての実権を握ることが出来ます。
エンジェル投資家の中には経済的動機だけでなく、次世代の会社を築くために投資する人が稀にいるそうです。
しかし投資してもらう場合は相手の意図を確認しておくことが重要です。
創業前に考えるポイント
創業前は事業に関することを考えるのが主となります。
例えばマーケットのポテンシャル(成長性、規模)や競争の展望、時間的制約があります。
競争の展望で考えたいことは希少なリソースを奪い合っていないかというところです。
そもそものパイがあまりないところで競争が激しいと新規参入はかなり難しいものになります。
また、時間的制約とは製品やサービスの進化が早いかどうかを考えます。
製品やサービスの進化が早いとネットワーク効果の点で先行者利益が大きくなります。
こういった業界への新規参入もハードルが高いものになるでしょう。
事業が決まってきたら会社の戦略も考えなければなりません。
会社の戦略は経営幹部がどの部門で経験を積んできたかによって変わってきます。
営業、マーケティング、研究開発の部門で働いていた場合は製品のイノベーションや多様化、広告宣伝に力を入れることが多いようです。
逆に生産やエンジニアに携わっていた場合はオートメーションや最新設備、工場などの川上統合に力を入れることが多いそうです。
こういったことを念頭に置いて考えていくことが重要です。
この本を読んでみて感じたこと
この本は起業から会社運営してく中でどんな人でもぶつかる決断のポイントについて詳しく述べられている本でした。
決断に関するポイントの他にも創業前に考えておきたいポイントも紹介されており、起業を考えている方は読んでおくべき本だと思いました。
また、会社運営をしている中で行き詰まる場面があればもう一度読み返したいと思います。
創業前の私がやっておきたいことは下記となります。
- 起業家に必要なスキルと実務経験を行っておく。
- 自分が起業する業界で事前に働いておく。
- 顧客、投資家になってくれそうな人と交流しておく。
- 個人的消費を抑え、倹約家になる。
- 投資家の意図を考える。
まとめ
この本は上述したように起業を考えている方は読んでいて損はないと感じました。
おそらく起業後も読み返すような気がしました。
事業運営していく中の各フェーズで発生する問題についてどのように考えれば最善の選択をできるかを考えさせられる本でした。
既に会社を運営している方にとっても学びのある一冊だと思います。
気になる方は気リンクから是非どうぞ!